プラス・アーツ 永田代表インタビュー
2. 防災訓練にアートの視点を取り入れるなど、独自のプログラムを開発されています。そのいくつかをご紹介いただけますか?また、プログラムに込められた思いを教えてください。
代表的な「防災+arts」のプログラムは、やはり楽しみながら学ぶ新しい形の防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」ですね。
美術家・藤浩志さんが2000年に開発した要らなくなったおもちゃを使った子どもたち向けのお店屋さんごっこ的なプログラム「かえっこバザール」と楽しい防災訓練ワークショップを組み合わせた画期的なプログラムで、今全国各地および世界に広がっています。
昨年の3月11日の東日本大震災以降は、このカエルキャラバン!を私たちは「楽しみながら学べる新しい形の防災の“お祭り”」と呼び始めています。全国各地で開催している会場の様子をみていると、このカエルキャラバン!には地元の様々な団体、組織が協力し、関わるケースが多いのです。自治会、女性会、小学校、PTA、子ども会、商店街、地元企業、など…。そういった地域の団体が協働しながら開催している様子はまさに地域のお祭りをみているようで、地域のコミュニティ再生の最後の切り札のような思いを込めて「防災の“お祭り”」なんだと呼び始めています。カエルキャラバン!が全国に広がっていくなかで、その地域のコミュニティ再生に貢献できればと強く思っています。
震災時には、毛布や畳などの身の回りのものを担架代わりにして使いました。毛布の両端をくるくる丸めて担架をつくり、重量のあるカエル人形を運びます。
水消火器を使って火の形の的をひっくり返し、カエルの形を誕生させるワークショップです。火元を狙うという教訓と共に、消火器の使い方をゲーム感覚で楽しく学べます。
「カエルキャラバン!」以外には、オリジナルの防災カードゲームを3タイプ開発して教育現場などで使ってもらっています。中には市販化されたものもあります。建築家の方々とは身の回りの物だけで3日間過ごせる「災害用シェルター」を開発してもらい、子どもたちに体験してもらうようなイベントも実施しています。デザイン分野とのコラボレーションでは、グラフィックデザイナー・寄藤文平氏と共同で様々な防災啓発ツールを開発しており、その代表的なツールであるカードサイズの蛇腹折りの防災マニュアルブックにいたっては複数の企業が自社のコーポレートカラーに編集して制作、導入しています。こちらのデザイン分野の活動も昨年の東日本大震災以降、『地震ITSUMO.com』というサイトを立ち上げ、これまでにプラス・アーツが様々なプロジェクトで培ってきた防災の知識や技を寄藤文平さんのイラストをつけてわかりやすくしてサイト上で公開しています。同時に立ち上げた「地震ITSUMOプロジェクト」はサイトのオープン以外にも「地震ITSUMO講座」の開講や地震ITSUMO啓発グッズ(地震ITSUMO大判ハンカチ、地震ITSUMOポスターの制作・普及などを多面的に展開しています。
地震の際発生する様々なトラブルを紙芝居形式で出題し、手持ちのアイテムカードで解決する方法を考えるゲームです。